真正仏舎利の嘘 1

-大統領が本物であると保証したという嘘-

 

 

 桐山氏によれば、阿含宗で祭られている仏舎利が本物(真正仏舎利)であることを、授与してくれた当時のスリランカ大統領が保証していると、次のように述べています。

 

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資料1(文献1.『守護霊の系譜』252)

 

 信者の多くはこの桐山氏の言葉と大統領の権威を信じて、「大統領が偽物の仏舎利を授与するはずはない」と頭から思い込んでいます。では、その大統領のメッセージを見てみましょう。

 

 

大統領のメッセージには本物とはない

 

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資料2(文献1.『守護霊の系譜』口絵)

 

 文章は平易なわかりやすい英語で、阿含宗機関紙『法友』の中で、次のように訳されています。

 

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資料3(文献5.『法友』85号、25)

 

 この文章を見てもわかるように、大統領は仏舎利を本物だと述べていません。つまり、大統領が本物だと保証したという根拠はありません。

 それでも「偽物を渡すはずがない」と主張する信者たちがいます。だが、大統領や首相だから本物の仏舎利を渡すはずだという主張は何の根拠もありません。阿含宗では自分たちだけが大統領から仏舎利を授与されたかのように思い込んでいますが、大統領と仲介者のビパシー師は他にも日本のお寺に仏舎利を寄贈しています。

 

 

寄贈例1.正観寺(1983年、徳島県)

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資料4(文献2.『日本の仏舎利塔』279)

 

 資料4には興味深い記述があります。

 

 昭和五十八年十月、スリランカの国際仏教文化社会福祉事業団、P.ビパッシー主席から「日本スリランカ仏教交流協会」設立の認証と友誼の印として、キャンディー市仏歯寺秘蔵の釈尊の歯牙と、昭和五十九年二月、ジャワルデネ大統領から九輪(ピクナルすなわち尖塔)の寄進を受け・・

 

 この文章から、19831984年正観寺に、ビパシー師と大統領が関与して、仏舎利と九輪が贈呈されたとあります。阿含宗にはこの二人が仏舎利と仏像、正観寺には仏舎利と九輪を贈呈したのですから、二人が組になって仏舎利などを寄贈していたのがわかります。

 

 

寄贈例2.青松院(1983年、山梨県)

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資料5(文献2.『日本の仏舎利塔』394)

 

 この資料によれば、1983年、青松院の住職と信徒が、スリランカでジャヤワルデネ大統領とプレマサダ首相から仏舎利を授与されたとあります。

 

 

寄贈例3.子安観音寺(1983年、香川県)

 

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資料6(文献2.『日本の仏舎利塔』495)

 

 資料6によれば、19831984年に、ジャヤワルデネ大統領と仏歯寺管長から仏歯と菩提樹を授与されたとあります。

 

 

代議士による斡旋

 この資料4~6の三つの寄贈例(19831984)と阿含宗の仏舎利(1986)は一連の「仏舎利販売」の痕跡とみることができます。桐山氏によれば、阿含宗に授与された仏舎利は、元々他の教団に行く予定だったのが、キャンセルになったとのことです。つまり資料4~6のお寺には売り込みに成功したが、一つだけキャンセルが出てしまい、買い手を捜して、国会議員に斡旋を頼み、それが阿含宗に回ってきたということでしょう。

 その証拠が下記の写真です。

 

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資料7(文献3.『家運を盛大にする先祖供養 仏舎利物語』口絵)

 

 資料7は1986年に桐山氏がスリランカで仏舎利を授与された時のものです。写真の右端に写っているのが仲介をしたビパシー師であり、その左側に写っている眼鏡をかけ青いネクタイをした人物は、自民党の某大物代議士の秘書です。大統領や代議士まで仲介したのですから、阿含宗がこの仏舎利に35千万円もの巨額な費用を払ったのも当然でしょう。

 桐山氏は、仏舎利が来たことを仏様のお手配であるかのような書き方をしていますが、このような流れを見れば、阿含宗の仏舎利は販売でキャンセルの出た「残り物」であり、代議士など仲介費用を払って買い求めたものであることは明らかです。

 

 

政治家による仏舎利販売

 資料4~7を見ても、スリランカの大統領と仏教界の長たちが組んで、日本に仏舎利を販売していたのがわかります。これはスリランカだけでなく、インドではもっと顕著で、この本(文献2)ではインドのネール首相が13個、ガンジー首相が3個寄贈したことが書かれています。次の資料8はその一例です。

 

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資料8(文献2『日本の仏舎利塔』)

 

 資料8では左から、帝都仏舎利塔へのネール首相からの寄贈(98)、大乗教団大乗寺仏舎利殿へのガンジー首相からの寄贈(201)、よみうりランド仏舎利塔へのスリランカ政府からの寄贈(106)であると書かれています。

 阿含宗の信者たちが信じているように「大統領が贈与したのだから本物だ」という説が正しいなら、資料8の仏舎利は全部本物になってしまい、日本には少なくとも数十個の真正仏舎利があることになります。つまり、日泰寺以外では阿含宗だけが本物だという説は成り立ちません。

 また、桐山氏は「阿含宗の仏舎利が日本で2つ目の真正仏舎利である」と述べていますが、これも成り立ちません。資料4~6はいずれもジャワルデネ大統領が寄贈したもので、これを本物の根拠とするなら、阿含宗よりも前に3個の真正仏舎利が日本に来ていたことになります。

 なお、資料4~6の各寺院で、仏舎利を本物であると名乗っているお寺は一箇所もありません。

 簡単に言うなら、金を払えば、インドやスリランカの政治家や宗教家たちが動いて、仏舎利を授与してくれたのです。その典型的な事例がオウム真理教です。

 

 

オウム真理教にさえ授与された仏舎利

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資料9(文献4.『本物の時代』12)

 

 資料9の写真の説明文には次のようにあります。

 

当時の総理大臣(現大統領) D. B.ビジェトゥンガ氏より仏舎利(サキャ神賢の遺骨)を受け取る尊師

 

 この授与は1991年頃と推測されます。オウム真理教のようないかがわしい教団でも、当時の首相から仏舎利を受け取ることができたのです。そこからわかることは、お金を使えば、為政者から仏舎利と称する物を受け取ることができたのです。

 この調子で首相や大統領が本物の仏舎利を渡していたら、いくらあっても足りないでしょう。

 結局、仏舎利を受け取るほうは大統領や首相から受け取ったという権威を買って宣伝に使い、為政者たちは元手もなしに巨額の資金を受け取ることのできる商売にすぎません。

 

 

 以上をまとめるなら、

大統領のメッセージには仏舎利が本物だとは書いていない。

当時、大統領は僧侶と組んで日本の何カ所かのお寺に仏舎利を寄贈しており、阿含宗だけが特別ではない。

当時のスリランカやインドの為政者たちは日本に多数の仏舎利を寄贈していた。

阿含宗の仏舎利も代議士などが仲介した商品にすぎない。

金を出せば、オウム真理教のような所にもスリランカの為政者は仏舎利を授与していた。

これらの事実を見るなら、

「阿含宗の仏舎利が本物であることを大統領が保証している」

「大統領が偽物の仏舎利を授与するはずはない」

という阿含宗側の主張は成り立たちません。

 

 

文献1.『守護霊の系譜』桐山靖雄、平河出版社、1986

文献2.『日本の仏舎利塔』光地英学、吉川弘文館、1986

文献3.『家運を盛大にする先祖供養 仏舎利物語』阿含宗、1986

文献4.『本物の時代』オウム真理教、発行年不明

文献5.『法友』85号、阿含宗東京総本部道場、法友編集部、1986