剽窃・盗作・パクリ 1 ―― 密教占星術奥伝は他人の本そのまま ―― 他人の本を密教占星術奥伝として講義 阿含宗では夏期伝法会で密教占星術という占いを教えています。これは『密教占星術Ⅱ』(文献1)の発刊に合わせて講義した九星を用いた占いです。当時の伝法会で桐山氏は『密教占星術Ⅱ』にある四段掛けとよばれる占いを初伝、『密教占星術入門』(文献2)にある九星による性格占いを中伝、さらに日にちの九星で占う方法を密教占星術奥伝として講義しました。 しかし、密教占星術奥伝は、桐山氏が講義する数年前に発行された『九星日盤鑑定要法 中伝』(文献3)という他の占い師の本をそのまま読み上げて信者に書き取らせたものでした。もちろん、他人の本であることは信者には告げず、まるで長年研鑽を積んだかのような言い方でした。 桐山氏のいう秘伝、奥伝とはどのようなものであるかを示す貴重な事例です。 講義は録画されていたので、桐山氏は一~二度講義しただけで、以降、信者たちにはこのビデオで受講させました。その結果、桐山氏は密教占星術奥伝を講義したことをきれいに忘れたのです。 講義したことを忘れて十年後に同じ講義をした 密教占星術奥伝を講義した1979年から十年後の1989年、桐山氏は布教に使える実践的な「新しい占術」を伝法会で伝授することを宣伝しました。すでに伝法会を終了していた信者もこの占術を習いたい一心で正規の伝法料を払い、全国から関西総本部道場に集まったので、満員でした。 しかし、講義内容は「新しい占術」などではなく、十年前の密教占星術奥伝そのままでした。つまり、桐山氏は十年前に講義をしたことをすっかり忘れて、同じ講義で信者を釣ろうとしたのです。これが求聞持脳で超人的な記憶力を持つという桐山氏の正体です。 密教占星術奥伝が桐山氏が長年研鑽して体得した内容なら、講義したことを忘れるなどありえません。しかし、発行されてわずか数年後の他人の本を盗んできただけだから、きれいに忘れてしまったのです。おそらく、自室を整理している時、齋藤氏の本をまた見つけ、条件反射のように「これをネタにして信者を釣れる」と、十年前と同じ発想で信者を騙そうとしたのです。騙そうとする発想だけは十年間まったく変わっていなかったのです。 醜態はこれだけでは終わりませんでした。 種本のコピーを配った 三日間で三回にわたる講義の途中、前に聞いたのと同じだとわかった受講生から苦情が出ました。これを聞いた桐山氏は逆に不機嫌になり、信者を叱りつけ、そのまま同じ書き取りの講義を続けました。そして、3日目に講義内容を印刷して信者に配布したのです。なんと、他人の本である『九星日盤鑑定要法 中伝』(文献3)をコピーして配ったのです。 桐山氏は剽窃の証拠を自ら信者に提供してしまったのです。これまでは桐山氏は講義で読み上げるだけで、何を読んでいるのかを信者に示したことはありませんでした。だが、講義したことを忘れて全国から信者を集めるという大失態を挽回しようとして、齋藤氏の本のパクリであることを自ら暴露してしまったのです。悪事千里とはこのことでしょう。 では、桐山氏の配ったコピー(資料1)と、その種本となった齋藤氏の本(資料2)とを比較してみましょう。 資料1.桐山氏が配った密教占星術奥伝の「中宮日盤定法」の5頁目。 資料1はまるで手書きのノートのようで、一見すると本からのコピーには見えません。実は、種本の『九星日盤鑑定要法 中伝』(文献3)は、この当時としては珍しい手書き本だったのです。それが次の資料2です。 資料2.桐山氏が盗んだ齋藤氏の『九星日盤鑑定要法 中伝』の37頁(左)と奥付(右) 種本の資料2と桐山氏のコピーの資料1を比較すれば、同一のものであることは明かです。違いは、資料1の冒頭に「二黒土星中宮日本命五黄土星の人」と書き加えられている点と、資料1が5頁なのに、資料2は三七頁である点です。 資料1の「二黒土星中宮日本命五黄土星の人」は桐山氏が書き加えたものらしく、「桐山氏の自筆の履歴書」での筆跡とよく似ています。本文の文字は桐山氏の字ではありませんから、これは桐山氏のノートなどではありません。 種本からコピーして表題を書き加え、元のページ数を消して、まるで自分のノートであるかのように新たに番号をつけて配ったのです。 資料2の奥付を見ればわかるように、齋藤氏の本が発行されたのは1976年であり、桐山氏が伝法会で最初に奥伝を伝授したのは1979年ですから、発行からわずか三年後に他人の本を、まるで自分が体得したかのように密教占星術奥伝などという仰々しい名前を付けて、信者から金を取って教えていたのです。 これだけでも下劣きわまる行為ですが、信者にコピーを渡すにあたって桐山氏はもっと薄汚いことをしました。 盗んでおいて「他見を許さず」 桐山氏は信者にコピーを渡すにあたって、これを二つに分け、それぞれに表題をつけました。それらが資料3です。 資料3.桐山氏が信者に配る際二つに分け、それぞれに付けた表題 表紙に桐山氏の筆跡で「日盤占断秘訣」「中宮日盤定法」と表題が書かれています。この表題が齋藤氏の本の題名『九星日盤鑑定要法 中伝』をヒントにして作ったものであるとは明かです。そうでないなら、密教占星術奥伝とか、密教占星術日盤占断などと付けたはずです。だが、桐山氏はこの本の表題を知っていた。 これをあえて強調するのは、桐山氏は出版本だと百も承知で講義したことの証拠だからです。桐山氏がこの本の本文だけのコピーを入手して、手書きだったため講義録のノートだと思いこみ、出版された本だとは気がつかなかったという言い訳は成り立ちません。表題のついた出版本だと百も承知で盗んだのです。 しかも「他見を許さず」、つまり金を払って伝授を受けた者以外は見てはならないと判まで押してあります。自分は他人の本を盗んできていながら、「他見を許さず」だという。桐山氏の姿は盗人猛々しいという言葉がぴったりです。 桐山氏の盗人ぶりはこれだけではありません。 盗まれないように二つに分けた 齋藤氏の本では、資料3のような「日盤占断秘訣」「中宮日盤定法」という分類はしていません。元々一冊の本ですから、二つに分けなければならない内容ではないからです。桐山氏はなんのために資料3のようにわざわざ二つに分けて配ったのでしょうか。 これらの資料が外部に漏れても、そのままでは使いにくいように、わざわざ順序をバラバラにして、わかりにくくしたのです。 桐山氏のこの薄汚いやり方を理解するために、まず齋藤氏の本の構成を簡単に説明します。 資料4.齋藤氏の『九星日盤鑑定要法 中伝』の目次 齋藤氏の本は、九星のそれぞれの日に来た人を占うもので、来た人もまた九星を持っていることから、 「その日の九星」×「来た人の九星」=81種類 となり、合計81種類の占い内容が羅列されています。たとえば、資料4の目次の最初に「① 一白中宮日の鑑定法」とあり、一白の日に来た相談者を一白から九紫までの9種類に分けて、それぞれを説明しています。 その説明の仕方は、たとえば、二黒の日に来た六白の人の説明は次の資料5のようになっています。 資料5.『九星日盤鑑定要法 中伝』の二黒の日に来た六白金星の人の説明 最初に十数行にわたり総括的な説明があり、次に「鑑定法」の解説があり、次のページでは「運勢」「結婚」があり、この後は掲載していませんが、「病気」「その他」という項目を説明しています。つまり、総括から始まり、鑑定法、運勢といった項目を説明していくというやり方を、81回繰り返しているのが齋藤氏の本の書き方です。 ところが、資料5に相当する内容を、桐山氏の「日盤占断秘訣」では次の資料6のようなっています。 資料6.桐山氏の『日盤占断秘訣』の二黒の日に来た六白の人の説明 資料5と資料6を比較すればわかるように、桐山氏は「鑑定法」以下の「運勢」などの部分をカットして、いきなり次の七赤金星の説明になっています。そして、「鑑定法」以下を「中宮日盤定法」としてわざわざ別にまとめています。 資料7.桐山氏の「中宮日盤定法」の二黒の日に来た六白金星の人の説明 資料7と種本の資料5を比較してみればわかるように、桐山氏は齋藤氏の本の「鑑定法」以下の部分を切り取り、わざわざ「中宮日鑑定法」として、別にまとめて信者に渡したのです。 再度両者のまとめた方の違いを比較するなら、次のようになります。 齋藤氏・・・総括+鑑定法+運勢+結婚+病気+その他 桐山氏・・・総括 → 「日盤占断秘訣」 鑑定法+運勢+結婚+病気+その他 → 「中宮日盤定法」 本来連続している内容を桐山氏はわざわざ切り張りして二つに分けて、信者に配布しているのです。桐山氏は相当に急いでこの切り張りの作業をしたらしく、資料6には、本来『日盤占断秘訣』には載せる予定のない「鑑定法」がそのまま載っています。理由は種本となった資料5を見ればわかるように、そこで頁が終わっているので、面倒だからそのままにしたのです。急いだために同様のズサンな切り張りがあちらこちらにあります。 桐山氏は実際の講義ではこのように二つに分けてはおらず、斉藤氏の本をそのままの順序で読んで信者に書き取らせています。ですから、実際に使う上で信者は「日盤占断秘訣」と「中宮日盤定法」とをくっつけ直す必要が出できます。つまり、桐山氏はわざと順序を変えるという一見面倒で無意味なことをしたのです。 泥棒の泥棒対策 桐山氏は奥伝が盗まれるのを恐れて、密教の「乱脱」をまねたつもりでしょう。 密教の作法を書いたお次第書では外部に漏れるのを恐れて、「乱脱」といって作法の順序をわざと変えてあります。桐山氏はこれを真似て、本来一つの内容をわざわざ二つに切り分けて、それぞれにタイトルをつけたのでしょう。こうすれば、仮に、片方が外部に流出しても、半分しか伝わりません。 盗難対策はこれだけではありません。齋藤氏の本は一白の日から九紫まですべてが書いてありますが、桐山氏が配ったのは、 「日盤占断秘訣」・・・一白~五黄 「中宮日盤定法」・・・二黒~五黄 つまり、「中宮日盤定法」は一白がなく、また両者とも六白から九紫までありませんから、このままでは使い物になりません。 桐山氏の泥棒対策は万全です。だが、そもそも密教占星術奥伝は齋藤氏の本から桐山氏が盗んできたものです。他人の物を盗んできていながら、今度はそれを他人に盗まれまいとして、二つに切り張りして、それでも安心できず、半分しか出さなかったのです。自分が盗んできたから、今度は他人が盗みに来ると心配しているのです。 桐山氏のしたことは泥棒の泥棒対策です。 他人の物を盗んで、まるで自分が体得したかのような涼しい顔をして、信者から金を盗って講義し、さらにこれを盗まれまいとして姑息な手法を用いた。この桐山氏の心をよく見ることです。ところが、この桐山氏は素晴らしい道徳意識を持っているという。 資料7.無限の道徳意識を持つという桐山氏の記述(文献4の60-61頁) 桐山氏は七つの超人的能力を体得したと豪語し、六番目にあげたのが「無限に発達した道徳意識」です。桐山氏の道徳意識は無限に発達しすぎて、普通の意味の道徳心は失われてしまったようです。どんな偉そうなことを並べても、桐山氏のこういうパクリ一つをみれば、彼の心は普通の人の道徳心すら持っていないことは確かでしょう。 仏教の基本としての五つの戒律には「盗まない」があります。このような基本的な戒律すら守れない桐山氏が解脱者であるはずがありません。 まとめると次のようになります。 ・桐山氏は三年前に発行された他人の本を密教占星術奥伝と称して信者たちから金を取って講義した。 ・桐山氏の秘伝や奥伝とはこんな程度のものである。 ・桐山氏は十年後に自分が講義したことをきれいに忘れてまた同じ講義をしたのだから、超人的記憶力どころか、人並みの記憶力すらない。 ・桐山氏は他人の本を盗んだにもかかわらず、それを自分は盗まれまいとして、講義内容をわざわざ二つに分けて配った。 ・桐山氏は剽窃を平気でやってのけるくらい道徳心が低く、しかも盗んだ物を他人からは盗まれまいとするような品性の卑しい人物であり、解脱者からはほど遠い。 文献1.『密教占星術Ⅱ』桐山靖雄、平河出版社、1978年. 文献2.『密教占星術入門』桐山靖雄、平河出版社、1992年. 文献3.『九星日盤鑑定要法 中伝』齋藤擁道、東京運命学研究会、1976年. 文献4.『阿含仏教 超能力の秘密』桐山靖雄、平河出版社、1996年. |